「What's in my『One』?」一休・榊さんの “思考を自由にする” One活用術

HOLICCは、“旅して働く”をもっとしやすくするためのアイテムを開発しています。ここでいう「旅」は、観光に限りません。自分の「好き(=HOLICC)」を追いかけて移動すること。その延長に、日常も仕事もある。そんな感覚です。
今回お話を伺ったのは、株式会社一休 代表取締役社長・榊 淳(さかき じゅん)さん。社長でありながら自らコードを書き、東京と山梨・八ヶ岳を半々で行き来する2拠点生活を実践。将来のワイナリー開業を見据えて、ブドウ造りにも取り組んでいます。
榊さんが1年半使い続けているのが、HOLICCのバックパック「One」。通勤から海外旅行まで「使わない日がない」と言うその理由は、収納力や機能の話だけではありませんでした。
キーワードは、“思考の余白”。榊さんのOneの中身と日常を追いながら、その設計思想をHOLICCチーフプロデューサーの齊藤がインタビューしてきました。
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【プロフィール】
榊 淳(さかき じゅん)さん
株式会社一休 代表取締役社長
1972年熊本県生まれ。1997年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2003年スタンフォード大学サイエンティフィック・コンピューティング修士課程修了、ボストンコンサルティンググループ入社。コンサルタントを経て2013年株式会社一休入社、2016年代表取締役社長に就任。代表を務めながら、自らデータサイエンティストとして一休.comのレコメンドエンジン開発にも携わる。東京と八ヶ岳の2拠点生活を実践しながら、将来のワイナリー開業を目指してブドウ造りに取り組む。

—— まずは榊さんのライフスタイルから伺いたいです。いま東京と八ヶ岳の2拠点生活をされているんですよね。
今は週の半分ずつで、東京と八ヶ岳を行き来しています。日曜〜火曜は東京で一休の仕事やその他の社外取締役やアドバイザーとして働いて、水曜〜土曜は八ヶ岳でブドウの農作業です。将来ワイナリーを作ることを目指して、ブドウを育てているんです。
—— 週の半分!かなり本格的ですね。拠点間の移動はどう過ごされているんですか?
車移動で、中央道で2時間の行き来です。渋滞を避けるために、4時55分に起きて5時出発。起きてから5分で家を出ています(笑)。途中のコンビニでコーヒーと軽食を買って、5時30分には高速道路を走り始めますね。
—— 起きて5分で出発はすごい……。移動中は何を?
オーディオブックを聴いています。往復4時間、毎週の移動なので相当な読書量になります。長編もどんどん読み進められて。移動そのものをインプットの時間に変えてしまう感覚です。
Oneとの出会い——「じゃあ買います」とその場で即決

—— そんな生活の中で、Oneをどこで知り、いつ頃から使われているんですか?
経営仲間から熱く勧めてもらって。「何がいいの?」って聞いたら色々説明してくれて、「じゃあ買います」とその場で決めました。1年半くらい前から使っています。
—— 即決、気持ちいいですね(笑)。使い始める前は、バッグ周りでどんなストレスがありました?
以前もリュックを使っていたんですが、物の出し入れがしづらい形で、出張のたびに別のバッグへ荷物を移し替えなきゃいけなかった。帰ってきたらまた元に戻す。その「荷物の引っ越し」が本当に馬鹿らしくて。しかも移し替えるたびに忘れ物ないかなって気にしなきゃいけないじゃないですか。Oneにしてから、それが全部なくなりました。荷物の引っ越しがなくなる、忘れ物を気にしなくていい。すぐ出かけられる。それって積み重なるとすごく大きいんですよね。
What’s in my 「One」?——必要なものが、必要な場所に

—— では、さっそく中身を見せてください。普段のOneにはどんなものが入っていますか?
ノートPC、iPad、ノートパッド、モバイルバッテリー、充電器類、折り畳み傘、水、ペン、眼鏡、財布、のど飴、紅茶、薬……ですね。必要なものが過不足なく入っている感じです。
—— かなりミニマルですね。中身はシーンによって変えたりします?
中身はあまり変わらないですね。オフの日もパソコンは常に入っています。どこにいても仕事ができる状態にしておきたいので。
—— なるほど。“どこでも仕事ができる状態”が常に整っている。まず、旅のときに活躍するスペースってありますか?
通勤時は洋服の圧縮スペースはほぼ使いませんが、旅行のときはここが真価を発揮します。2〜3日の旅行ならここがベースですね。海外だとネックピローとダウンを広げて入れます。「動くオフィス」と「動く宿泊セット」が、このOneひとつに揃うんです。あとは、この圧縮スペースの中のポケットに紅茶のティーバッグと薬を必ず入れています。

—— 紅茶が必携、いいですね。こだわりがありそうです。
朝、絶対に紅茶を飲みたいんですよ。出張先のホテルにハーブティーしか置いていないことってあるじゃないですか。そういうのじゃなくて、いつもの紅茶が飲みたくて常に入れています。部屋でパソコンを開く前に、まずお茶。それが自分のスイッチです。
—— “朝のスイッチ”が紅茶。習慣が整ってる感じがします。薬も同じポケットに?
薬は東京・八ヶ岳のどちらにも常備はしていないので、このポケットに入れて常に持ち歩いています。いざという時に「ある」って状態が大事で。
—— 続いてPC周りも聞きたいです。PCスペースには何が?
ハイエンドのごつめなノートPC、ノートパッド、iPadですね。iPadは移動中に映画を観る時などに使っています。ノートパッドは紙の方が考えが整理しやすいのでいつも入ってます。出張やその間のご飯の予定はカレンダーに書き込んだりして。だから、デジタルとアナログの両方が常にここに入っています。

—— デジタル一本化じゃなくて、あえて“紙”も持ち歩く。思考の整理の仕方が出ますね。ガジェット類はどうまとめていますか?
モバイルバッテリー、延長コード、PCの充電器をガジェットケースにまとめて収めていて、それを2階建ての1階部分に入れています。電源系はここと決めています。これがあれば、どこでもオフィスになりますからね。

—— 「決めておく」って強いですよね。迷いがなくなる。日用品系は?
水、ペン、眼鏡、のど飴。小さい財布はオーガナイザースペースに入れています。海外旅行のときはHOLICCのコンパクトなタオル「Sabir」(サビル)もここに入れています。何かと使うんですよね。

—— 水はボトルスペースじゃないんですね。
はい、ボトルスペースには傘を入れています。折り畳み傘がピッタリ入るので。入らないという人もいる?むしろ、Oneに合う傘を買った方がよいですね(笑)。
榊さん流パッキング術——「入れるものも、位置も変えない」

—— ここまで聞いていて思いましたが、“中身がほぼ固定”なんですね。パッキングで大切にしていることってありますか?
入れるものも位置も変えないことですかね。入れ替えが起きると、忘れ物が生まれる。だから一度決めたらあまり変えないようにしています。
今日だって、久しぶりに病院に行ったんですよ。「診察券ありますか?」って言われて、「あるかな……」と思ったら、ちゃんと出てきた(笑)。常に同じバッグを持ち歩いていると、こういうことが起きます。必要なものが、いつでもそこにある。
—— それ、気持ちいいですね(笑)。旅先でも効きそうです。
効きますね。実は数日前までタスマニアに長期滞在したんですが、そのときもOneと60リットルのソフトキャリーで行きました。帰国前日に奥さんが「荷造りしたい」と言い始めたんですけど、自分はすぐ終わるんです。だからその時間で、タスマニアで一番美味しいレストランにも行ける。準備に縛られないって、選択肢が増えることなんですよね。
1日の流れとOne——起きて5分で出られる理由

—— 日常の話も伺いたいです。典型的な1日の流れってどんな感じですか?
月曜日は経営会議があって、そのあと1日会議が続いて終わります。火曜日は朝食ミーティングが8時半から入っているので、その前に6時半からジムに行くんですよ。ジムで泳いで、7時半にサウナ、8時半に整って朝食へ。
—— 朝の密度がすごい……!そのスケジュールで回せるのは、準備が速いからですよね。
そうですね。朝は6時に起きて、6時5分に出発、タクシーで着いて6時35分には泳いでいます(笑)。常に起きてから5分で家を出られるのは、実はOneのおかげで。Oneがいつも整った状態でそこにあるから、起きてすぐ動き出せるんです。
—— “整った状態のまま置いてある”って、強いですね。
「なんか忘れ物ない?」って中身をいちいちチェックするのは本当にやりたくない。その時間があるなら、今日の夜は何を食べるか、どんなワインを飲むか考えることに使いたいです。

—— 最高ですね。その「考えたいことに時間を使う」って、御社の「心に贅沢を」というメッセージにつながる部分もあるかもしれないですね。Oneは、国内出張だとどんな使い方になりますか?
国内で2〜3日の出張ならOneひとつで行きます。もう少し長い旅行は、小さいスーツケースをプラスする形。Oneの中身はいつも同じで、スーツケースに旅の荷物が加わる感じです。
—— 持ち物や暮らし方にも、その哲学が一貫している印象があります。ミニマルにすることで、逆に豊かになる感覚ってありますか?
そうですね。シンプルにして無駄を省く分、自分が考えたいことに頭を使う余白ができる。服だって同じパンツを5枚持っていて、それを選んでいます。いつも同じ服と見られるかもしれないけれど、服選びの選択をなくすことで思考の余白が生まれるんですよね。
—— “選ばない設計”が余白を作る、と。日用品も同じですか?
コップも、東京にも八ヶ岳にも同じものしか置いていないんですが、水を飲むときも、ビールも、お茶も全部そのコップを使っています。ワイングラスだけは別ですけど。自分にとって考える必要がないことに頭を使わない。その分、大切なことへの思考に集中できます。
—— ワイングラスだけ別、そこが最高です(笑)。そんな生活の中で、Oneが貢献できていることってどんなことですか?
「すぐ出かけられる」ということの価値に気づいたことですね。タスマニアの例の通り、準備が短いと選択肢が増える。価格が高いと感じる人もいるかもしれないけど、トータルで考えてみてほしいです。荷物の引っ越しがなくなる、忘れ物が減る、朝の準備が5分で済む。その積み重ねが、毎日の時間と思考を変えると思っています。

「旅して働く」への想い——仕事という山登りの“下り方”を設計する

—— 八ヶ岳でのブドウ造りも含めて、これからのビジョンを教えてください。
60歳のときにはワイナリーをやっていると思います。ただ、ワイナリーってすぐにはできないんですよ。まずブドウを育てることから始めないといけないし、時間がかかる。だから今から逆算して少しずつ始めている。今は一休が9割、ブドウ造りが1割。その比率をゆっくり移していくイメージです。
—— HOLICCとしても自分の好きを追及して移動の多い二拠点生活をしているというのは、まさにモデルケースです。その意味でこの記事を読んでいる方へ伝えたいことはありますか?
仕事の人生を「山登り」に例えると、登り方を考える人は多いけど、下り方を考える人は少ない。いい山の下り方の一つが、自分の事業を持つことだと思っています。定年もないし、クビもない。お客さんがいる限り仕事ができるじゃないですか。しかも、仕事なのか趣味なのかよくわからないくらい好きなことで。そういう着地点を、早くから設計しておいたほうが良いと思います。
—— それを実行しきっているのが榊さんらしいですね。そして、ブドウ作りも、ワインも、まさに「ワインHOLICC」ですね!
(笑)。確かにそうかもしれないですね。
Oneを一言で言うと?
—— 最後に、ここまでの話を踏まえて伺いたいです。榊さんにとってOneは、一言でどんな存在ですか?
「思考のフリーダムを広げてくれるもの」ですね。すぐ出かけられる、荷物に頭を使わなくていい。その積み重ねが、本当に大事だと思っています。
—— ありがとうございました。

社長でありながらコードを書き、2拠点を行き来し、ブドウを育てる。榊さんの生活は、要素だけ見れば忙しいはずなのに、話を聞くほど「やることを増やす」のではなく「考えなくていいことを減らす」方向に設計されているのが印象的でした。
入れるものを変えない。位置を変えない。準備は5分で終わらせる。
それは“丁寧な暮らし”というより、思考のコストを極限まで削ぎ落として、考えるべきこと/考えたいことに頭と時間を回すための仕組みです。
Oneは、荷物を運ぶための道具というより、その仕組みを崩さないための土台になっていました。
忘れ物の不安や、出張のたびの“荷物の引っ越し”が消えるだけで、日々の意思決定は驚くほど軽くなる。榊さんの言葉は、そのことを静かに証明していました。
もし毎日、どこかで「小さな確認」に追われているなら、まず一つだけ、“考えなくていいこと”を固定してみるのはいかがでしょうか。そこから余白が生まれる感覚を、体験できるかもしれません。











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