【インタビュー】HOLICC×SHElikesコラボ ショルダーストラップデザインに込められた拘り
HOLICCではこのたび、PackBag+の販売を記念し、SHElikesの受講者に対してショルダーストラップのデザインをコンペ形式で募集しました。数ある応募の中から選ばれ、見事採用されたハタケヤマ モエさんに、HOLICCチーフプロデューサーの齊藤がデザインのこだわりやポイントをお聞きしました!
【プロフィール】
ハタケヤマ モエ イラストレーター/デザイナー
イラスト制作会社、雑貨商品企画、アパレル業界のグラフィックデザイナーを経て独立。
出産後のキャリアに悩み2021年4月にSHE株式会社が運営する「SHElikes(シーライクス)」*1に入会。ブランディングコースをメインに受講。
コンペをきっかけにAdobe Frescoの魅力にハマり、絵を描くことの楽しさを伝える即興ライブペイントを用いたイベント「モエ絵フレスコ」を開催中。モノをデザインする上での発想の仕方を綴ったnoteがnote公式サイトで紹介され話題に。(twitter:@moe_htk)
*1 SHElikesとは21世紀を生きる女性たちが自分らしい働き方を叶えられるよう、 WEBデザインやWEBマーケティングなどの27種類のクリエイティブスキルレッスンやコーチングプログラム、 仕事機会を提供するライフ&キャリアスクール。
HOLICC×SHElikesで開催されたショルダーストラップコンペ
齊藤 ーーー 今回はショルダーストラップのデザインを、SHElikesの受講生にコンペ形式で制作をしてもらう形で募集。70件ほど応募のあった中からノミネート作品を僕が選び、シーメイトさん*2に投票形式で決めてもらう形で行いました。
*2シーメイト=SHElikesを受講している受講生
SHElikesを受講されている方は学びの意欲がとても強くて、そこから現状を打破して新しい生き方や働き方を目指しているイメージがあって。特にオンラインで学んでいる人が多いので、「時間や場所にとらわれずに働く」ということをしようとしている人が多いと思うのですが、そこがHOLICCの考えた方やコンセプトと合っているなと思い、お願いしたのがスタートです。
初めはHOLICCの商品を購入してくれるのは男性が多いかなと思っていたのですが今では半々で、女性向けやユニセックスのデザインのバリエーションを増やしたいと思っています。ショルダーストラップのデザインは元々黒のシンプルなものが多かったので、女性の顧客に向けたデザインがほしいなと思い依頼させていただきました。
「マーブルみたい」子どもの一言で浮かんだアイデア
齊藤 ーーー 今回はどのようなことを考えてこのデザインに至ったのでしょうか。
モエさん ーーー まず今回のコンペのお知らせをみて、単純に楽しそうだな、やってみたいなという気持ちから入りました。旅やワーケーションをする女性に向けた新しいデザインのストラップを求めていると認識したので、【旅】【女性】【ワーケーション】というキーワードを私なりに汲み取って考えることにしました。
旅行先で見る海外の壁や地面の模様って特徴がありますよね。例えばタージマハルの模様とか。最初はそういった旅先で目にする文化的なものをイメージしようかなとざっくり考えていました。
でもある日、ふと子どもが自宅のベランダから雲がまざった空を見て、『ママ、(空が)マーブルみたい。』と言ったんです。当時まだ3歳だった子どもの少ない語彙力の中から「マーブル」という言葉が出てきたことにびっくりしたと同時に、「確かに」と妙な説得力を感じました。
私たち大人にとっては空は空だけれど、子どもの目線で見て感じたものをそのまま伝えてくれる豊かな感性が素敵だなと思い、コンセプトにしたいなと思ったんです。
空って旅やワーケーションに通ずるものがあるなと思っています。どこに行っても空は続いているし、天気があったりいろいろな表情がある。ワーケーションなど多様な働き方や価値観の違いにすごくリンクしてぴったりだと思い、空をデザインに落とし込もうと決めました。
齊藤 ーーー お子さんがふと言った言葉をちゃんとモエさんが拾ってデザインに結びつけていったのがすごいですね。
商品企画時代に作ったことのない作品へのチャレンジ
齊藤 ーーー 今回のこのデザインにはどんな思いが込められていますか?
モエさん ーーー 実は過去に雑貨の商品企画の経験があるので、マーブルをどう表現しようかなと思ったときに、生産背景を考えてしまったんです。既存のデザインやイラストレーターで描くようなぱっきりとした線の表現の方が、生産過程上の色ブレが少ないからいいのかなとか…。
でもよく考えたらこれはコンペ、今まで作ったことのない作品にチャレンジしてみよう!と思って手書き風の絵画のようなデザインにしました。商品企画時代は今回のような作品は作ったことがなかったので、私にとって大きな挑戦でした。
コンセプトを前面に推したいわけではない。見た人がびびっとくるようなモノに
齊藤 ーーー デザインをする際に気をつけたことや、意識して取り組んだことはありますか?
モエさん ーーー デザインは絵画調を意識して作りました。女性が使う雑貨はファッション性や好み、見た目が大事かなと思っています。いかに女性が分け隔てなく使えて、さらにいままでにないようなデザインにしたいと思い、見た目を重視して作りました。
デザインも「これは空なんです!」ってコンセプトを前面に推したいわけではありません。
空にも見えるし、雲にも見えるし、抽象的な柄にも見える。曖昧さを出すことで、トータルコーディネートのポイントにもなるようなデザインにしようと思いました。「使ってみたいな」という気持ちが大事だと思っています。
まずデザインって「これが好き!」って思った時に「ここのこういうところが好きで・・・」って説明や分析はしないですよね。作る側はいろいろ考えるけれど、まずは買う人の感性にびびっとくるようなデザインにしようと意識しました。
齊藤 ーーー「なんかいいな」って思ってもらえることが先で、その後ろにストーリーがありますもんね。空の多様性とかはあとからついてくるものなので、まさにそうだなと思いました。
モエさん ーーー デザインのコンセプトについては「なんでこの柄にしたんだろう?」と気になった人が調べて、知ってくれたらいいなと思っています。それを知ってこのデザインをより深く好きになってくれたら嬉しいです。
縦から見ても、横から見ても違和感のない工夫。モエさんだけの絵画調のデザイン
齊藤 ーーー 実際にこの商品を使う人はどんな人を想像しましたか?
モエさん ーーー 旅をするアクティブな女性をイメージしました。ワーケーションをしている場所を写真で撮りそうなイメージがあったので、「映え」を気にされる方かなと想像しました。
齊藤 ーーー 旅の最中に撮る写真にショルダーストラップも映りますもんね。ちなみに利用シーンは意識しましたか?
モエさん ーーー 実際利用する時、背負うと縦位置になりますよね。なので縦で見たときも違和感がないようにという点は特に意識しました。
齊藤 ーーー ありがとうございます。たくさん応募をいただいた中でも絵画調の作品はモエさんの作品だけでした。僕も前のデザインをしているけれど、絵画調は考えたことがなかったし、自分にない世界だなと思っています。
空をモチーフにしたデザインは他にもいくつかありましたが、モエさんの絵画調のデザインが斬新で、見た瞬間のインパクトがあったので選びました。
(ご自身がデザインしたストラップと、PackBag+を手にするモエさん)
Adobe Frescoを使うようになってから発見した新しい自分の見せ方
齊藤 ーーー モエさんは普段からデザイナーとしてインスピレーションを得るためにしていることや、行く場所がありますか?
モエさん ーーー 実はここ数年は子供が小さくてなかなか外に出れなかったので、情報やトレンドを仕入れるのはSNSのInstagramやPinterestを活用していました。
でも最近は外に出れるようになってきて、美術館や街中の気になる雑貨や服、インテリアなどから刺激をもらっています。
今までは美術館へ行ってもただ観るだけでしたが、Adobe Frescoを使うようになってからは、「この絵はどのようにしたら描けるんだろう?」という新しい見方ができるようになりました。昔の芸術品って面白いですよね。
齊藤 ーーー 自分が何かできるようになると、今まで見ていた情報もそこと紐づいて、新しい思考が生まれてくるということですね。昔の絵を今の技術でどう描くかなんて考えたことがある人もあまりいないと思うので、面白いですね。
モエさん ーーー 自分でも今まで考えたことがなかったので面白いなと思います。実はゴッホ展に行って、ゴッホの作品をAdobe Frescoで自分なりに描いてみたんです。そしたら意外と楽しくて…。
ライブペイントのイベントをやったときに描いたらとても評判が良くて、他の画家さんの作品も描いてほしいですっていう声をいただいて。新しい自分の見せ方をそういった周りからの声で発見することができました。
旅をしながら働く上でのペインを解決するために開発したPackBag
モエさん ーーー PackBagをどんなきっかけから開発されたのでしょうか。またどれくらい時間をかけて作られたのかも気になります。
齊藤 ーーー 旅をしながら働くっていうことをする上でのペイン*3に対する強い思いからスタートして、それをどう解決するかというところでたどり着いたのが商品開発のきっかけでした。
*3ペイン=不満や課題
元々荷物をできるだけ軽くして移動をしたい、旅をしたいというのがあって。でも従来あるような圧縮袋だとすぐ空気が入ってしまったり、圧縮する作業が大変で使わなくなってしまったりするなと思っていました。
それを解決するための既存の商品がすでにあったのですが、実際は使われていないこともあって。それがある意味原型といえば、原型です。いろんな商品のレビューを見たり、実際に試したりしてみて、その課題をPackBagで解決しようと思い作りました。
ただ足し算して要素を折り込むだけではなく引き算もし、周辺のアイテムから素材などヒントを経て開発しました。
モエさん ーーー いろいろなエッセンスを足したり引いたりして開発されたんですね!
齊藤 ーーー 試行錯誤して開発しましたが、時間としては一般的な商品開発より短めだと思います。熱量を込めて集中的にやっていたので。
今はいろいろなことをやっていますが、当時はオンラインストアもなく商品開発だけに集中できたし、ペインが強かったのでその自分のペインを解決するためにどうすればいいかを考えて熱狂しました。期間としては、サンプル作製なども含めて半年ほどです。
モエさん ーーー 熱量を持って商品を作ることは私もとても好きなので、素敵な話が聞けて嬉しいです。思いを持って作れるのが素敵だなと思いました。
改めて思い出した、人のためにモノを作る楽しさ
齊藤 ーーー 今回のお仕事でどのような気づきや学びがありましたか?
モエさん ーーー やはり人のためにモノを作るのは楽しいなと昔の感覚を思い出しました。また今までベルトのような細いものにデザインをしたことがなかったので、その難しさやどう表現しようと考える機会があったのが面白かったです。
齊藤 ーーー なかなか細長いところにデザインすることってないですもんね。
モエさん ーーー あの細い領域で見せるのが難しく、作る側としていろんな難しさも感じたけれど、やってみたいと思えたし、やってみてよかったと思えたことが学びです。商品作りって楽しいなと思いました。
齊藤 ーーー そういうのって大事ですよね。きっかけを作れたのは僕としても嬉しいです。選ばれたモエさんがそう思ってくれて、コンペを開催してよかったと思います。
実際出来上がった商品も僕らのアイデアではなかった領域のデザインですし、シーメイトさんみんなで最終的に選んだデザインで商品を作ることができてよかったです。
モエさん ーーー 最終的に選んでもらえて本当に嬉しかったです。まずコンペをしていただいたことがいいきっかけになりましたし、とても感謝しています。
(ご協力:SHE株式会社)
ライター:Minami さん (twitter:@minamiiitrip)
撮影:uniiさん (twitter:@uniii25)
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「PackBag+」販売のお知らせ
旅のプロ考案!
ショルダーにもリュックにもなる超圧縮バッグの進化版「PackBag+」
2月10日(木)12:00から販売開始
1年前のクラウドファンディングで大きな反響をいただき、これまでに1,200個以上ご購入いただいた、ショルダーバッグにもなる超圧縮バッグ「PackBag」。
お客様の声をもとに、機能面はもちろん細かいデザイン面も多数アップデートし、使い勝手を向上させた進化版が、この「PackBag+」です!
選べるショルダーストラップには、モエさんデザインの「Marble Sky」が新登場。
詳細はこちらのページをご覧ください。
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